ヘリコバクターピロリの発見によって、慢性胃炎、胃潰瘍、胃がんなどの胃腸病のほとんどが、実はピロリ菌によるものだと判明したのは最近のことです。しかしその診断や治療にはコペルニクス的転回が起こりました。
従来、これらの胃腸病は様々な因子による多因子疾患と捉えられてきたため、胃粘膜保護剤や、胃酸の程度を修飾する薬剤(H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害剤)などが対症療法として開発されてきました。
したがって現在ではまだ残念ながら1剤でピロリ菌を除去しうる医薬は開発されていません。
現在、ピロリ菌の感染者数は全世界で人口の50%を超えており、病医院の外来における上腹部不定愁訴を訴える患者の相当数にあたる方々がその感染を疑われています。
わたしたちは従来のアプローチと異なった方法で胃粘膜細胞を保護しつつ、同時に持続感染を阻止するタイプの抗ピロリ菌薬の開発に注力しています。